2024.12.28(土)
新宿K’s cinema
UPLINK吉祥寺他にて
全国順次公開

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制作から50年を経て、
アメリカで、そして日本で初の劇場公開
2022年デジタル修復版

監督:ロバート・マンスーリス
出演ミュージシャン:B.B.キング バディ・ガイ ジュニア・ウェルズ ルーズヴェルト・サイクス ロバート・ピート・ウィリアムズ
マンス・リプスカム ブッカ・ホワイト ソニー・テリー ブラウニー・マギー ファリー・ルイス ジミー・ストリーター
出演俳優:ローランド・サンチェス オニケ・リー アメリア・コルテス ウィリアム・L・エヴァンス
1973年(2022年2K修復版)/フランス/英語/88分/1:1.33/字幕:福永詩乃
/英題:THE BLUES UNDER THE SKIN/原題:LE BLUES ENTRE LES DENTS
/©︎1973-2022 NEYRAC FILMS
配給:オンリー・ハーツ 協力:ブルース&ソウル・レコーズ

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コメントをお寄せいただいた方々(50音順·敬称略)
今祥枝/江國香織/折田千鶴子/きさらぎ尚/久米宏/古賀太/
新藤悦子/那須慶子/橋爪勇介/はな/東紗友美/山口路子

今 祥枝

ライター/編集者

絵画のように美しい映像とは裏腹に、狂おしいほどの愛の喜びと、
業火に焼かれるほどの嫉妬と絶望、
その苦しみを伝えるピエールとマルトの物語に、どうしようもなく心惹かれた。
愛は人を身勝手にするもの。ピエールの傲慢さと残酷さは、
正当化もできなければ美化することもできない。
それでも、ただただ分かち難い魂の結びつきに
愛の深淵さを思う。

江國香織

小説家

失われた時代の輝かしい手ざわりと、
ボナールという画家の残酷なまでの誠意と無邪気。
伝説のカップルの、野蛮さと生命力が美しい。
そしてもちろん、あの黄色。

折田千鶴子

映画ライター

あまたある画家の伝記映画とも似て非なる、
色んな思いを乗り越えて“運命や天寿を全うした2人の愛”から滴り落ちたような、
どこか透明で清涼感にも似た後味にふっと酔う。
隠れ家のような田舎での暮らし、川遊びや睡蓮、訪ねるモネらとの交流など、
興味津々の名場面も目白押し!
ちょっとエキセントリックで謎めいた女性マルトも、
今だからこそ描き得たのかストンと腑に落ちる。
主演2人が、とにかく素晴らしい!

きさらぎ尚

映画評論家

画家とその妻は、こんなにも強く、悩ましい絆で結ばれていたのか。
生涯にわたる彼らの関係は、驚きと困惑に彩られている。
芸術家のエゴ、妻の虚言——。出会った瞬間から、
二人が一緒に画面に映るこの映画は、きっぱりとして濃やかな、
まるで両人の肖像画だ。どちらがどうのと答えを求める必要はあるまい。
もう一人のモデルの存在や印象派画家モネとの交流、美しい風景。
本筋の<二人の愛>に散りばめられている
これらのニュアンスまで楽しみ尽くせる。

久米宏

フリーアナウンサー

画家ピエール·ボナールが亡くなったのは 僕が3歳の時でした
そのピエールと妻マルトの人生·····
スクリーンが明るくなった時
きっとこれが真実だったのだと信じました
フランスを代表する2人の俳優はそれ程見事なのです

古賀太

日本大学芸術学部教授

この映画は2度見るといい。
1度目は画家ボナールの幸福な軌跡として、
2度目は妻マルトを始めとして、ブロンドのモデルのルネ、
若い芸術家たちを魅了し何度も富豪と結婚するミシアらの、
女たちの苦渋の物語として。
それにしても、これまで太めの情けない男を演じてきた感じの
ヴァンサン·マケーニュが、端正な顔立ちのボナールそっくりになったのには驚いた。
また20代から70代までのマルトを演じたセシル·ドゥ·フランスの
強い存在感にも圧倒された。
今後、ボナールの絵の女性が、
すべてセシルの顔に見えてきそうだ。

新藤悦子

児童文学作家

セーヌ川のほとりの田舎家、
ボナールが去ったその家で、
マルトは絵を描き始める。
描かれる女から描く女へ。
ボナールのミューズは、ミューズを越えて、
画家に近づこうとしたのか。
絵筆を持ったマルトの横顔に
目が釘付けになる。

那須慶子

イラストレーター·画家

感極る作品。
わたし自身、小学生時に美術館でピエール·ボナールの絵に出会い、
思春期に一番影響を受けた大好きな画家だ。
印象派の光の表現よりも、絵画全体の色のバランスを重視し
神秘性を唱えたナビ派の一員としても知られるが、
印象派と並んで展示されることも多かった。
ボナールは妻と2人で気に入ったル·カネで暮らし、
モネも幾度となく訪問している様子が窺い知れたり、
生涯一人の女性を愛し続け「幸福の画家」とも呼称されたが、
事実は違うことが、この映画内で明らかになる。
傷を抱え、最期は見事に孤高の画家を全うした。
胸をわし掴みされ、久しぶりに泣いた。

橋爪勇介

ウェブ版「美術手帖」編集長

互いが互いを絡めとり、
たんなる画家とミューズという関係には
収まり切らないボナールとマルト。
この映画は、複雑な愛の変遷の物語だ。

はな

モデル

深い絆で結ばれたピエールとマルトが過ごした時間が
美しい花を咲かせたように、
人生でもっとも幸せな景色は、愛が描くもの。
大好きなピエール·ボナールの作品を
より身近に感じさせてくれる映画。
秋が運ぶ風景と重ねてみたくなる、
オススメの一本です!

東紗友美

映画ソムリエ

“幸せそう”とだれかに思われなくたって良い

ふたりにしか理解できない関係が
ふたりだけにしかわからないかたちで続いていく
それでもう十分なんじゃないか

永遠に離れないという約束ではなく
はなればなれになっても
導かれるようにそのひとのもとへ戻ってくる
それを奇跡と言ってもいいと信じたい

セーヌ川のゆるやかな流れのなかで
ふたりだけの時間を熟成していく

調和の取れていた時期も苦悩と対峙する時期も
水面のきらめきがすべてをつつみこむ
まぶしくて目を細めたくなるような時間だった

画家ピエール·ボナールの
インスピレーションの源にふれられる
愛と色彩の物語

山口路子

作家

裸になって緑の木々の間を駆けまわり
水と戯れるふたりの姿が目に焼きつき、笑い声が耳に残る。
原始的な官能の悦びの共有、
ここにふたりの絶対的関係性の核があるように感じた。
そしてそんな相手である妻を飽くことなく描き続けた画家が、
しかし、決して顔をはっきり描かなかったという事実が
スパイシーな陰影となり、惹きつけられて、
まさに一枚の絵画を前にいつまでも
佇んでいるような感覚になる。

ABOUT

人生の苦しみに痛む魂の回復力

ブルースの核心が浮かび上がる。
伝説的なブルース・ミュージシャンたちの
衝撃的なパフォーマンスと、
ハーレムに住む若いカップルの愛と苦闘。

1970年代初頭、デルタ・ブルースへの関心が再燃していた。
音楽ドキュメンタリー作家ロバート・マンス―リスは、本物のアメリカン・ブルースの名残をフィルムに収めようとミシシッピ・デルタを旅し、B.B.キングをはじめとする伝説的なミュージシャンたちの率直なインタビューや親密な演奏を撮影。
彼の目的は、音楽を記録するだけでなく、ブルースをこれほどまでに表現豊かで心揺さぶる音楽形式にしている、文化的・政治的要因を探ることだった。
並行して、ハーレムに住む若いカップル(ローランド・サンチェスとオニケ・リー)の波乱含みの関係をドラマチックに描き(カップルは貧困や偏見との闘いをナビゲートしている)、ドキュメンタリーとフィクションの境界線をあえて曖昧にして、見るものをブルースの核心へと誘うことに成功した。

STORY

ストーリー

ニューヨークのハーレムに住む若いカップルの愛と苦闘の物語。
フレディ(ローランド・サンチェス)は子供のころ生活のためノースカロライナ州から母親に連れられてニューヨークに出てきた。だが武装強盗の罪で5年間服役、出所後ハティ(オニケ・リー)と結婚し二人で母親の家に居候している。
フレディは刑務所の病院で働いた経験を生かして看護助手をやろうと職探しをする毎日だがうまくいかない。街をうろつきハティに金を無心してはビリヤード場に出入りし鬱とした日々をやり過ごしている。
そんなフレディに嫌気がしたハティは、仕事帰りに立ち寄るなじみのバーでブルースを歌う男と駆け落ちを図るが…。

DIRECTOR 監督ロバート・マンスーリス

ギリシャからスイスに亡命
1929年にギリシャのコモティニで生まれたロビロス・マンソウリス(ロバート・マンス―リス)は、ドイツ軍の占領に対するレジスタンスに参加した。
戦後アメリカのシラキュース大学で映画製作を学んだ後、一時ギリシャに戻るが、1966年に監督した『Face to Face(英題)』が軍事独裁政権との間で問題となり、スイスのジュネーブに亡命。そして1968年ころ、マンスーリスは『A l’Affiche du Monde(世界のポスター)』というTVポップ・ミュージック・シリーズのエピソードを監督するため、パリに招かれる。

ビートルズやローリング・ストーンズも
マンスーリスは、ザ・ビートルズ、ザ・ローリング・ストーンズ、ジャック・ブレル、ジョーン・バエズ、サン・ラ、リッチー・ヘヴンズ、カレン・ダルトン、ブッカー・T・&・ザ・MGsといった影響力のあるミュージシャンたちを撮影し、高い評価を得ることができた。

TVドキュメンタリーとして
1971年、フランス政府は第3のTVネットワーク(France 3)の立ち上げを計画し、マンスーリスは好きなテーマでドキュメンタリーを撮る機会を与えられた。そこで彼はミシシッピ・デルタ・ブルースを選んだ。

ブルースを題材にした最初の映画
マンスーリスと彼のクルーは街から街へと飛び回り、テキサスでは刑務所の作業員、メンフィスではファーリー・ルイス、バトンルージュではロバート・ピート・ウィリアムズ、ニューオーリンズではルーズヴェルト・サイクスを撮影することができた。
マンスーリスは当初から、このプロジェクトを単なるテレビドキュメンタリーのシリーズ以上のものにしたいと考えていた。
「自分の人生を演じる人たちを登場させる映画も作りたいと思っていた。まだパリにいた頃、『ブルースの魂』の準備のために、ハーレムの黒人たちの精神分析的な事例を集めた本を読んだ。そして、ブルースの本当の物語は人生経験であることに気づいた。つまり、ブルースの言葉とその背後にある感情に命を与えなければならない。私はブルースの歌のようなシンプルな物語を書き、それを撮影することに成功した」。

半世紀を経ての公開
『ブルースの魂』はアメリカでは完成から50年経った現在までほとんど上映されなかったが、2024年7月正式な米国初公開が今回の2Kレストア版でついになされた。
マンスーリスは2022年4月21日パリで亡くなった。享年92歳。

MUSICIANS

主な出演ミュージシャン

B.B.キング
1925-2015 アメリカ、ミシシッピ州生まれ
シンガーソングライター、ギタリスト、プロデューサー
1949年にレコードデビューし、晩年まで活躍したモダンブルースの巨人。
51年の「3 O’clock Blues」がR&Bチャートで1位を獲得し、以後ヒット曲多数。
ブルース界のみならずロックなどポピュラー音楽全般に多大な影響を及ぼした「キング・オブ・ブルース」。
91年にはアメリカの「人間国宝(National Heritage Fellowship)」に選ばれた。

バディ・ガイ
1936- アメリカ、ルイジアナ州生まれ
ギタリスト、シンガー
シカゴ・ブルースの第一人者。
60年から67年までのチェス・レコード時代に彼の個性が開花した名作を多く残す。
80年代に活動が低下するが、89年シカゴにブルース・クラブ「バディ・ガイズ・レジェンズ」を開店。
91年ジェフ・ベック、エリック・クラプトン等が参加した「Damn Right, I’ve Got The Blues」をリリース、グラミー賞を獲得し人気は急上昇。
2018年にはジェフ・ベック、キース・リチャーズ、ミック・ジャガーらを迎えたアルバム「The Blues Is Alive and Well」をリリース。

ジュニア・ウェルズ
1934-1998 アメリカ、テネシー州生まれ
シンガー、ハーモニカ奏者
50年代よりシカゴで活躍し、そのファンキーなサウンドは、ファンク・ブルースの形成に寄与。バディ・ガイとのデュオでの活動でも知られる。

ルーズヴェルト・サイクス
1906-1983 アメリカ、アーカンソー州生まれ
ブルース・ピアノ奏者
1929年ニューヨークで初めてのレコード吹込みをし、最初にリリースした「’44’Blues」はブルースのスタンダート曲になった。
1980年代まで活動し、葉巻を加えた姿と陽気で激しいブギウギで有名。

ロバート・ピート・ウィリアムズ
1914-1980 アメリカ、ルイジアナ州生まれ
ギタリスト、シンガー
幼少期から貧困と苦難に満ち、20代の時靴を盗んで逮捕されて以降服役を繰り返し
服役中に自作ギターで演奏を始める。
出所した1950年代初頭からミュージシャンとして活動を始め、彼の非常に個性的な音楽は、ボブ・ディランやニール・ヤングにも大きな影響を与えた。

マンス・リプスカム
1895-1976 アメリカ、テキサス州生まれ
ひょうひょうとした歌声が味わい深いソングスター。
農作業のかたわら内輪のパーティなどで手製のフィドルを演奏していたが後ギターに持ち替える。1956年ヒューストンに移住し60年からLP吹込みを始めた。

ブッカ・ホワイト
1909-1977 アメリカ、ミシシッピ州生まれ
ギタリスト、シンガー
B.B.キングの母親のいとこ。1930年に最初のレコード吹込みをしたその9年後、暴行で服役中に「Shake ‘Em on Down」「Po’Boy」など代表曲が録音された。
60年代ボブ・ディランが彼の曲をカバーするなどして「再発見」される。
彼の曲中もっとも有名な「Parchman Farm Blues」はミシシッピ州立刑務所の農場のことを歌ったもの。

ソニー・テリー
1911-1986 アメリカ、ジョージア州生まれ
盲目のハービスト(ブルースハーブ奏者)として知られる。8歳からブルースハープを学び始めたが、11歳の時ケガで片目を失明、16歳の時にやはり事故でもう片方も失明する。
黒人で盲目という大きな困難を抱えるが、23歳の時に盲目のギタリスト、ブラインド・ボーイ・フラーと出会い音楽家人生が前進する。
その後フラーの弟子のような存在だったブラウニー・マギーと組んで1950年から60年代のフォークムーブメントの波に乗り活躍。

ブラウニー・マギー
1914-1996 アメリカ、テネシー州生まれ
4歳の時に小児まひにかかり右足が短くなる、父はギタリスト叔父はヴァイオリニストで早くから音楽に親しみギターやピアノを覚える。
1930年代後半から自身のバンドで演奏活動。1940年にソニー・テリーと出会い以後一緒に多くの録音を残す。

ファニー・ルイス
1893(99) -1981 アメリカ、テネシー州生まれ
ギタリスト、ソングライター
17歳の時に鉄道事故で片足を失い、生計を立てるためギターと歌を習う。
1927年に最初のレコーディングを行った。
1959年に再発見され10枚以上のアルバムを残す。

ジミー・ストリーター
(ジェイムズ・フォン・ストリーター)

1922-1984 アメリカ、カンザス州生まれ。
テナーサックス奏者
ジョニー・オーティスを追ってLAに行き、オーティスのバンドのスターに。
1949年には映画「D.O.A」で、彼のサイドバンドThe Wig-Poppersと共にスクリーンに登場した最初のロックミュージシャンとなった。
リトル・リチャードなど多くのアーティストと組んで録音を残すが、ドラッグにおぼれ脚光を浴びてから10年後には音楽シーンから姿を消す。

TRAILER

予告編

THEATER

劇場情報

都道府県劇場名公開日
関東
東京新宿K’s cinema12/28(土)
UPLINK吉祥寺12/28(土)